🎯 このレッスンのゴール
- 8桁精算表が「どんな表か」を説明できる
- 決算整理を「修正記入」欄に書き込んで精算表を埋められる
- 当期純利益を精算表のどこに書くかが分かる
- 損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)の形が分かる
- 仕入→売上原価などの「表示名の変換」を覚える
決算整理(売上原価・減価償却・貸倒引当金など)まで終わったら、最後にすることは2つです。ひとつは、整理した内容を精算表という一覧表にまとめること。もうひとつは、そこから財務諸表(B/S・P/L)を完成させることです。
そして大切なのが――試験の第3問は、まさにこの精算表・財務諸表がメインだということ。配点も大きい場所なので、ここをマスターできれば合格がぐっと近づきます。
精算表ってなに?
精算表とは、決算整理前残高試算表を出発点に、決算整理を反映させ、最後に損益計算書(P/L)欄と貸借対照表(B/S)欄へと振り分けていく一覧表です。決算の作業を1枚で見渡せる、いわば「下書き用紙」です。
精算表は、頭の中の計算をいったん全部書き出して整理する下書き用紙。そこで計算がきちんと合ったのを確認してから、見やすく書き直したのが清書=財務諸表(P/L・B/S)です。下書きで答えが出ているので、清書はその数字を写すイメージです。
8桁精算表=「4区分 × 借・貸」の8列
簿記3級で出るのは8桁(けた)精算表です。「8桁」というのは、勘定科目名のあとに金額の列が8列並ぶ、という意味。次の4つの区分が、それぞれ「借方・貸方」の2列ずつあるので、4×2=8列になります。
| 勘定科目 | ① 試算表 | ② 修正記入 | ③ 損益計算書(P/L) | ④ 貸借対照表(B/S) | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
| 各勘定科目 | もとの試算表(与えられる) | 決算整理仕訳を記入 | 収益・費用がここへ | 資産・負債・純資産がここへ | ||||
左から右へ流していくイメージ。①試算表 → ②修正記入で調整 → 中身に応じて ③P/L欄 か ④B/S欄 へ移します。
精算表の解き方(手順)
やることは決まっています。次の順番でていねいに進めれば、必ず答えにたどり着きます。
- 試算表欄は、もう書いてある。①の試算表(借方・貸方)は問題で与えられるので、自分で埋める必要はありません。
- 決算整理仕訳を「修正記入」欄に書く。前回学んだ決算整理仕訳を、関係する科目の行の②修正記入(借方・貸方)に記入します。
- 各行で「試算表 ± 修正記入」を計算する。たとえば借方の試算表に修正記入の借方を足し、貸方の修正記入を引く、というように、その科目の決算整理後の金額を出します。
- 行の中身で行き先を決める。収益・費用の行は損益計算書(P/L)欄へ、資産・負債・純資産の行は貸借対照表(B/S)欄へ、計算後の金額を移します。
- P/L欄の貸借差額が「当期純利益(または純損失)」。この差額が、同じ金額でB/S欄にも現れて、最後は左右(借方合計=貸方合計)がピタッと一致します。
科目が5グループのどれかを思い出すだけ。収益費用 は P/L欄へ、資産負債純資産 は B/S欄へ。グループ分けができていれば、行き先は自動的に決まります。
いちばん大事:当期純利益はどこに書く?
精算表でいちばん間違えやすいのが、当期純利益(当期純損失)を書く場所です。ここだけは理由つきでしっかり覚えましょう。
もうけが出た(利益の)とき、P/L欄では 費用側(借方)が小さく、収益側(貸方)が大きい状態です。その差額が当期純利益。これを――
・損益計算書(P/L)欄の「借方」に記入
・同じ金額を 貸借対照表(B/S)欄の「貸方」に記入
します。B/S欄で貸方に入るのは、利益が出ると純資産が増えるからです。純損失のときは、すべて逆(P/L欄は貸方・B/S欄は借方)になります。
「P/L欄では借方なのに、B/S欄では貸方? 逆じゃない?」と混乱しがち。でも考えてみると――P/L欄は差額を借方に埋めて貸借を合わせ、B/S欄は増えた純資産(もうけ)を貸方に立てる。役割がちがうので位置もちがう、と理解すればOKです。
ミニ精算表で確かめよう
言葉だけだと分かりにくいので、かんたんな数値例で見てみましょう。決算整理は「売上原価の算定(しーくり・くりしー)」と「貸倒引当金の設定」だけにしてあります。単位は円です。
| 勘定科目 | 試算表 | 修正記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
| 現金 | 500 | 500 | ||||||
| 売掛金 | 1,000 | 1,000 | ||||||
| 繰越商品 | 200 | 300 | 200 | 300 | ||||
| 貸倒引当金 | 10 | 20 | 30 | |||||
| 資本金 | 1,000 | 1,000 | ||||||
| 売上 | 1,500 | 1,500 | ||||||
| 仕入 | 810 | 200 | 300 | 710 | ||||
| 貸倒引当金繰入 | 20 | 20 | ||||||
| 当期純利益 | 770 | 770 | ||||||
| 合計 | 2,510 | 2,510 | 520 | 520 | 1,500 | 1,500 | 1,800 | 1,800 |
読み方:仕入は「810+200−300=710」が売上原価としてP/L借方へ。P/L欄の差額(収益1,500−費用730=770)が当期純利益。それがP/L欄は借方、B/S欄は貸方に同じ770で入り、最後はP/Lも B/Sも左右が一致します。
財務諸表(B/S・P/L)を作ろう
精算表のP/L欄・B/S欄ができれば、財務諸表はそれをきれいに書き写すだけ……なのですが、ここで「表示名の変換」という大事なルールがあります。勘定科目の名前と、財務諸表に書く名前がちがうのです。ここが第3問のひっかけ頻出ポイント。
損益計算書(P/L)=1年間のもうけ
損益計算書は、1年間でいくらもうけたかを示す表。左に費用、右に収益を並べ、その差額が当期純利益です。表示名の注意点はこの2つ。
- 「仕入」→「売上原価」と表示する
- 「売上」→「売上高」と表示する
| 損益計算書(P/L) 自×年×月×日 至×年×月×日 | |||
|---|---|---|---|
| 費用 | 金額 | 収益 | 金額 |
| 売上原価 | 710 | 売上高 | 1,500 |
| 貸倒引当金繰入 | 20 | ||
| 当期純利益 | 770 | ||
| 合計 | 1,500 | 合計 | 1,500 |
「仕入」「売上」という勘定科目名のままではなく、売上原価・売上高と書くのがルールです。
貸借対照表(B/S)=期末の財産状態
貸借対照表は、期末時点で会社が何をどれだけ持っているか(財産の状態)を示す表。左に資産、右に負債・純資産を並べます。表示名の注意点はこの3つ。
- 「繰越商品」→「商品」と表示する
- 貸倒引当金・減価償却累計額は、対応する資産から差し引く形(マイナス表示)で書く
- 当期純利益は、純資産の「繰越利益剰余金」に含めて表示する
| 貸借対照表(B/S) ×年×月×日 | |||
|---|---|---|---|
| 資産 | 金額 | 負債・純資産 | 金額 |
| 現金 | 500 | 資本金 | 1,000 |
| 売掛金 1,000 | 繰越利益剰余金 | 770 | |
| 貸倒引当金 △30 | 970 | ||
| 商品 | 300 | ||
| 合計 | 1,770 | 合計 | 1,770 |
貸倒引当金は売掛金から控除(売掛金1,000−貸倒引当金30=970)。繰越商品は「商品」として表示。当期純利益770は「繰越利益剰余金」に含めます。資産合計1,770=負債・純資産合計1,770でピタッと一致します(精算表のB/S欄では貸倒引当金を貸方に置くため合計1,800と表示され、控除後が1,770になります)。
建物や備品などの減価償却累計額も、貸倒引当金と同じく、対応する資産(建物・備品)から△(マイナス)で差し引いて表示します。資産の右側に独立して並べないので注意。
表示名の対応表(頻出ひっかけ)
勘定科目の名前と、財務諸表に書く表示名のちがいをまとめました。ここは丸ごと覚えてしまいましょう。
| 勘定科目名 | 財務諸表での表示名 | どこに載る |
|---|---|---|
| 売上 | 売上高 | P/L(収益) |
| 仕入 | 売上原価 | P/L(費用) |
| 繰越商品 | 商品 | B/S(資産) |
| 貸倒引当金 | 貸倒引当金(資産から△控除) | B/S(資産のマイナス) |
| 減価償却累計額 | (建物等から△控除) | B/S(資産のマイナス) |
| 当期純利益 | 繰越利益剰余金に含める | B/S(純資産) |
よく出るのは「売上=売上高」「仕入=売上原価」「繰越商品=商品」の3つ。財務諸表を書く問題で名前をそのまま写すとバツになります。
おつかれさま! ひとまわり完走です 🎉
これで――仕訳 → 試算表 → 決算(決算整理) → 精算表 → 財務諸表という、簿記3級の流れをまるごと一周しました。バラバラに見えた知識が、1本の線でつながったはずです。
知識は「読んで分かる」から「解いて書ける」へ。とくに仕訳と第3問(精算表・財務諸表)は反復が効きます。迷ったら、いつでもこのロードマップに戻ってきてください。
確認テスト
○か×かで答えてみましょう。タップすると答えと解説が出ます。
Q1 8桁精算表は、「試算表・修正記入・損益計算書・貸借対照表」の4区分が、それぞれ借方・貸方の2列ずつあるので、合計8列になっている。
○。4区分 × 借方・貸方の2列 = 8列。だから「8桁」精算表と呼びます。
Q2 当期純利益は、損益計算書欄の「貸方」と、貸借対照表欄の「借方」に記入する。
×。逆です。当期純利益はP/L欄の借方・B/S欄の貸方に記入します(利益で純資産が増えるため)。貸方・借方になるのは純損失のときです。
Q3 損益計算書では、「仕入」は「売上原価」、「売上」は「売上高」という表示名に変えて書く。
○。勘定科目名そのままではなく、P/Lでは仕入→売上原価、売上→売上高と表示します。頻出のひっかけです。
Q4 貸借対照表では、「繰越商品」は「商品」という表示名で記載する。
○。B/Sでは繰越商品を「商品」と表示します。
Q5 「受取手数料」のような収益の科目は、精算表では貸借対照表(B/S)欄に移す。
×。収益・費用は損益計算書(P/L)欄へ移します。B/S欄へ行くのは資産・負債・純資産です。
Q6 貸倒引当金や減価償却累計額は、貸借対照表で、対応する資産から差し引く(△マイナス)形で表示する。
○。どちらも資産の評価を下げるものなので、対応する資産(売掛金・建物など)から控除する形で表示します。
一問一答
クリックで答えが開きます。サッと確認しましょう。
Q. 8桁精算表の「8桁」とは何の数?
Q. 決算整理仕訳は、精算表のどの欄に書く?
Q. 収益・費用の行は、P/L欄・B/S欄のどちらへ移す?
Q. 当期純利益は精算表のどこに記入する?
Q. P/Lで「仕入」「売上」はどう表示する?
Q. B/Sで「繰越商品」はどう表示する?
Q. 当期純利益は、貸借対照表のどの科目に含めて表示する?
まとめ
・8桁精算表=試算表・修正記入・P/L・B/Sの4区分×借貸=8列
・解き方:①試算表は与えられる→②決算整理を修正記入→③試算表±修正記入→④収益費用はP/L欄・資産負債純資産はB/S欄→⑤差額が当期純利益
・当期純利益はP/L欄の借方・B/S欄の貸方(純損失は逆)
・表示名:仕入→売上原価/売上→売上高/繰越商品→商品
・貸倒引当金・減価償却累計額は資産から△控除、当期純利益は繰越利益剰余金に含める