🎯 このレッスンのゴール
- 勘定科目は必ず5つのグループのどれかに入る、と分かる
- 資産・負債・純資産・収益・費用、それぞれの意味を言える
- 3級でよく出る代表的な勘定科目を、グループごとに見分けられる
- 売掛金と未収入金など、紛らわしい科目を区別できる
前回、仕訳には「ホームポジション(増えたら左右どっちに書くか)」があると学びましたね。じつはそれ、勘定科目がどのグループかで決まるんです。だからまず、5つのグループを覚えるのが近道。一度わかれば、あとはぜんぶラクになりますよ。
勘定科目は「名札」、そして必ず5グループに入る
勘定科目(かんじょうかもく)とは、お金やモノの種類につける「名札」のことです。たとえば手元の現金には「現金」、銀行に預けたお金には「普通預金」、まだもらっていない代金には「売掛金」というように、ひとつひとつに名前をつけて記録します。
そして、この勘定科目は必ず5つのグループのどれかひとつに入ります。例外はありません。
科目がどのグループかが分かれば、増えたときに左・右どちらに書くかが自動的に決まります。つまり「グループの判定」は、仕訳の正解にまっすぐつながる土台です。
5つのグループの意味
まずは、それぞれが「どんなもの」を表すのかをつかみましょう。むずかしく考えず、ざっくりしたイメージでOKです。
資産 会社が持っているプラスの財産・権利。お金そのものや、お金に換えられるもの、あとでお金をもらえる権利など。
例:現金、普通預金、売掛金、商品(繰越商品)、建物
負債 将来支払う・返す義務。いわばマイナスの財産。
例:買掛金、借入金
純資産 資産から負債を引いた正味の取り分。株主が出したお金や、会社が稼いでためた利益。
例:資本金、繰越利益剰余金
収益 もうけのもと。財産が増える原因になるもの。
例:売上、受取利息
費用 もうけるために使った・出ていったもの。
例:仕入、給料、支払家賃
あなたの家計で考えると、資産=財布の中身や貯金、負債=カードの未払いやローン、純資産=差し引きして本当に自分のもの、収益=お給料、費用=家賃や食費。会社も同じ仕組みです。
グループごとの代表的な勘定科目
ここでは、日商簿記3級で実際によく出てくる科目を集めました。すべてを今すぐ暗記する必要はありません。「これは資産っぽいな」と仲間分けの感覚をつかむのが目的です。
資産 のグループ
| 勘定科目 | どんなもの? |
|---|---|
| 現金 | 手元の紙幣・硬貨など |
| 普通預金 / 当座預金 | 銀行に預けているお金 |
| 小口現金 | 少額の支払い用に手元に置く現金 |
| 受取手形 | あとで代金をもらえる手形 |
| 電子記録債権 | 電子的に記録された、代金を受け取る権利 |
| 売掛金 | 商品を売って、まだもらっていない代金 |
| クレジット売掛金 | クレジット払いで売った代金の未収分 |
| 繰越商品 | 売れ残って手元にある商品 |
| 貯蔵品 | 未使用の切手・収入印紙など |
| 前払金 | 商品を受け取る前に先に払ったお金 |
| 立替金 | 他人の分を一時的に立て替えたお金 |
| 仮払金 | 金額や用途が未確定で先に渡したお金 |
| 貸付金 | 他人に貸したお金(返してもらえる権利) |
| 未収入金 | 商品以外を売って、まだもらっていない代金 |
| 建物 / 備品 / 車両運搬具 / 土地 | 長く使う形のある財産(固定資産) |
| 差入保証金 | 賃貸契約などで差し入れた敷金・保証金 |
負債 のグループ
| 勘定科目 | どんなもの? |
|---|---|
| 支払手形 | あとで代金を払う手形 |
| 電子記録債務 | 電子的に記録された、代金を払う義務 |
| 買掛金 | 商品を買って、まだ払っていない代金 |
| 前受金 | 商品を渡す前に先に受け取ったお金 |
| 預り金 | 給料から預かった源泉所得税・社会保険料など |
| 仮受金 | 内容が未確定のまま受け取ったお金 |
| 未払金 | 商品以外を買って、まだ払っていない代金 |
| 借入金 | 他人から借りたお金(返す義務) |
| 当座借越 | 当座預金の残高を超えて引き出した分(銀行への借り) |
| 未払法人税等 | まだ納めていない法人税などの金額 |
| 未払消費税 / 仮受消費税 | あとで国に納める消費税の預かり分 |
純資産 のグループ
| 勘定科目 | どんなもの? |
|---|---|
| 資本金 | 株主が会社に出資したお金(元手) |
| 繰越利益剰余金 | 会社が稼いでためてきた利益のうち、繰り越された分 |
| 利益準備金 | 配当の際に積み立てが義務づけられた金額 |
収益 のグループ
| 勘定科目 | どんなもの? |
|---|---|
| 売上 | 商品を売って得たもうけのもと |
| 受取利息 | 預金や貸付金から受け取る利息 |
| 受取手数料 | サービスや仲介で受け取る手数料 |
| 受取家賃 / 受取地代 | 建物・土地を貸して受け取る賃料 |
| 償却債権取立益 | 前に貸倒れ処理した代金を、あとで回収できたときの利益 |
| 固定資産売却益 | 建物や備品を帳簿価額より高く売れたときの利益 |
| 雑益 | 少額・臨時の細かな収益 |
費用 のグループ
| 勘定科目 | どんなもの? |
|---|---|
| 仕入 | 売るための商品を買った金額 |
| 給料 | 従業員に支払う給与 |
| 法定福利費 | 会社が負担する社会保険料 |
| 広告宣伝費 | チラシ・広告などの宣伝にかかる費用 |
| 支払手数料 | 振込手数料や仲介手数料などの支払い |
| 支払利息 | 借入金などに対して払う利息 |
| 旅費交通費 | 電車代・出張費など |
| 通信費 | 電話・郵便・ネットなどの費用 |
| 水道光熱費 | 電気・ガス・水道代 |
| 消耗品費 | 文具など少額で使い切るもの |
| 支払家賃 / 支払地代 | 建物・土地を借りて払う賃料 |
| 保険料 | 火災保険などの保険料 |
| 租税公課 | 収入印紙・固定資産税などの税金 |
| 修繕費 | 建物・備品などの修理代 |
| 雑費 | 少額・臨時の細かな費用 |
| 貸倒損失 | 売掛金などが回収できなくなった損失 |
| 貸倒引当金繰入 | 将来の貸倒れに備えて見積り計上する費用 |
| 減価償却費 | 建物・備品の価値の減少分を費用にしたもの |
| 固定資産売却損 | 固定資産を帳簿価額より安く売ったときの損失 |
| 法人税等 | 会社の利益にかかる法人税・住民税・事業税 |
「受取○○」は収益、「支払○○」は費用になりやすい、と覚えると整理がラクです(受取利息・受取家賃 ⇔ 支払利息・支払家賃)。
どの書類に乗る? B/S と P/L
5つのグループは、決算で作る2つの書類のどちらに乗るかで、きれいに分かれます。
| 書類 | 乗るグループ | 表すもの |
|---|---|---|
| 貸借対照表(B/S) | 資産 負債 純資産 | ある時点の財産の状態 |
| 損益計算書(P/L) | 収益 費用 | 1年間のもうけ(利益) |
B/S(貸借対照表)は、健康診断のように「いまこの瞬間、財産がどうなっているか」を写したスナップ写真。
P/L(損益計算書)は、「1年間でどれだけ稼いで、どれだけ使ったか」を記録した1年分の家計簿です。点(ある時点)と線(期間)のちがい、とイメージすると覚えやすいですよ。
まぎらわしい科目の区別
3級でつまずきやすいのが、似た名前の科目です。ポイントは「商品の取引か、それ以外か」。ここでスッキリさせておきましょう。
同じ「未収・未払」でも、商品の代金なら売掛金・買掛金、商品以外(備品など)なら未収入金・未払金を使います。
| 科目 | グループ | 使う場面 |
|---|---|---|
| 売掛金 | 資産 | 商品を売った代金の未収 |
| 未収入金 | 資産 | 商品以外(例:備品を売った代金)の未収 |
| 買掛金 | 負債 | 商品を買った代金の未払 |
| 未払金 | 負債 | 商品以外(例:備品を買った代金)の未払 |
| 前払金 | 資産 | 自分が買う商品の代金を先に払った |
| 立替金 | 資産 | 他人の分を一時的に立て替えた |
商品売買でよく使う3つの科目は、グループがバラバラなので注意。
・仕入(買った)→ 費用
・繰越商品(売れ残り)→ 資産
・売上(売った)→ 収益
グループの見分け方のコツ
・持っていてうれしいもの → 資産
・いつか払う・返すもの → 負債
・差し引き、自分の正味の取り分 → 純資産
・入ってくるもうけ → 収益
・出ていく努力(使ったお金) → 費用
✏️ 確認テスト(全6問)
〇か×で答えてみましょう。ボタンを押すと答えと解説が出ます。
Q1. 「売掛金」は資産グループの勘定科目である。
正解は 〇。売掛金は「商品を売って、あとでもらえる代金(権利)」なので資産です。
Q2. 「買掛金」は費用グループの勘定科目である。
正解は ×。買掛金は「商品代金をあとで払う義務」なので負債です。費用ではありません。
Q3. 「仕入」は費用、「売上」は収益のグループに入る。
正解は 〇。仕入は売るために使ったお金なので費用、売上はもうけのもとなので収益です。
Q4. 収益と費用は、貸借対照表(B/S)に乗る。
正解は ×。収益・費用は損益計算書(P/L)に乗ります。B/Sに乗るのは資産・負債・純資産です。
Q5. 備品を売った代金がまだ入っていないとき、使う科目は「売掛金」である。
正解は ×。備品は商品ではないので、未収分は未収入金(資産)を使います。売掛金は「商品」を売った代金専用です。
Q6. 「資本金」と「繰越利益剰余金」は、どちらも純資産グループに入る。
正解は 〇。資本金(株主の出資)も繰越利益剰余金(ためた利益)も、会社の正味の取り分なので純資産です。
📝 一問一答(全7問)
Q1. 勘定科目は、全部でいくつのグループに分かれる?
Q2. 「借入金」はどのグループ?
Q3. 「受取手数料」はどのグループ?
Q4. 「支払家賃」はどのグループ?
Q5. 貸借対照表(B/S)に乗るのはどのグループ?
Q6. 商品の代金を先に払ったときに使う科目は?
Q7. 「繰越商品」はどのグループ?
このレッスンのまとめ
・勘定科目は「名札」で、必ず5グループ(資産・負債・純資産・収益・費用)のどれかに入る。
・資産・負債・純資産はB/S、収益・費用はP/Lに乗る。
・「商品」か「それ以外」かで、売掛金/未収入金・買掛金/未払金を使い分ける。
・持ってうれしい→資産、いつか払う→負債、入るもうけ→収益、出ていく努力→費用。
グループの感覚がつかめれば、次は実際の取引を仕訳にしていきます。よく出るパターンを一緒に見ていきましょう。