🎯 このレッスンのゴール
- 三分法(仕入・売上・繰越商品)で商品売買の仕訳ができる
- 諸掛・返品・現金預金・当座借越のあつかいがわかる
- 手形・電子記録債権債務・クレジット売掛金の仕訳ができる
- 貸付借入と利息、未収未払・前払前受、給料と預り金が処理できる
- 固定資産の取得原価と、税金(租税公課・消費税)のさわりがわかる
仕訳のルールはもう学んだね。あとは「よく出る取引」を知っているかどうか。試験は同じパターンのくり返しなんだ。
このページは仕訳の見本帳(カタログ)。1つずつ、どのグループがどう動いたかをいっしょに確認していこう。むずかしく考えず、まずは型をまねるところから!
各グループの色を、最初に思い出しておきましょう。仕訳を見るとき、頭の中でこの色わけができると一気にラクになります。
資産 負債 純資産 収益 費用
資産・費用は借方(左)が定位置。負債・純資産・収益は貸方(右)が定位置。増えたら定位置へ、減ったら反対側へ。これだけで多くの仕訳が解けます。
1. 商品売買(三分法)
3級では商品売買を三分法で記録します。商品を費用の仕入、売ったら収益の売上、決算で残った在庫を資産の繰越商品であつかう方法です。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕 入300 | 買掛金300 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕 入300 | 現 金300 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売掛金500 | 売 上500 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現 金500 | 売 上500 |
三分法では、仕入れたときも「商品」ではなく仕入、売ったときも売上と書きます。「商品」という勘定が登場するのは、決算のときの繰越商品だけ。ここを混同しないようにしましょう。
2. 仕入諸掛・売上諸掛
商品の売り買いには、運賃や送料などの諸掛(しょがかり)がかかることがあります。だれが負担するかで処理が変わります。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕 入320 | 買掛金300 |
| — | 現 金20 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売掛金500 | 売 上500 |
| 発送費30 | 現 金30 |
3. 返品(戻し・戻り)
品違いや不良で商品を返すのが返品。仕入れた側が返すのが仕入戻し、売った側に返ってくるのが売上戻りです。最初の仕訳を逆にするイメージで、返品ぶんを取り消します。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 買掛金50 | 仕 入50 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売 上80 | 売掛金80 |
4. 現金・預金
会社のお金は、現金のほか普通預金・当座預金で管理します。預ければ預金が増えて現金が減り、引き出せばその逆。どれも資産どうしの入れ替えです。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 普通預金200 | 現 金200 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 買掛金100 | 当座預金100 |
当座預金の残高をこえて引き出すと、銀行が一時的に立てかえてくれます。これが当座借越。いわば「銀行からの一時的な借り」なので、決算で借入金(または当座借越)という負債に振り替えます。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 当座預金40 | 当座借越40 |
こまかい経費用に、係へ前もって一定額を渡しておくしくみです。渡すときと、使った報告を受けたときで仕訳が分かれます。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 小口現金50 | 当座預金50 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 旅費交通費20 | 小口現金30 |
| 消耗品費10 | — |
5. 手形・電子記録債権債務
約束手形は「いついくら払う」と約束した紙。振り出した(発行した)側は負債の支払手形、受け取った側は資産の受取手形で記録します。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕 入300 | 支払手形300 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 受取手形500 | 売 上500 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 支払手形300 | 当座預金300 |
手形と同じ役割を、紙ではなくデータで行うのが電子記録債権・電子記録債務です。売掛金が電子記録債権に、買掛金が電子記録債務に変わると考えるとわかりやすいです。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 電子記録債権500 | 売掛金500 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 買掛金300 | 電子記録債務300 |
6. クレジット売掛金
お客さんがクレジットカードで払うと、代金はカード会社からあとで入ってきます。この債権は通常の売掛金と区別してクレジット売掛金とします。カード会社へ払う支払手数料を、ふつうは販売時に計上します。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| クレジット売掛金980 | 売 上1,000 |
| 支払手数料20 | — |
7. 貸付・借入と利息
お金を貸すと資産の貸付金、借りると負債の借入金。利息は、受け取れば収益の受取利息、払えば費用の支払利息です。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 貸付金1,000 | 現 金1,000 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現 金1,000 | 借入金1,000 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現 金50 | 受取利息50 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 支払利息30 | 現 金30 |
8. 未収入金・未払金/前払金・前受金
あとで受け取る・払うお金でも、商品の売り買いなら売掛金・買掛金。商品以外(備品や土地など)の取引なら未収入金・未払金を使います。ここはよく問われます。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 未収入金200 | 備 品200 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 備 品150 | 未払金150 |
商品の代金を、引き渡し前に手付金としてやりとりすることもあります。払う側は前払金(資産)、受け取る側は前受金(負債)です。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 前払金50 | 現 金50 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現 金50 | 前受金50 |
9. 給料と立替金・預り金
給料は費用。ただし会社は、従業員の源泉所得税や社会保険料を給料から天引きして、あとでまとめて納めます。この天引き分は、いったん預り金(負債)として預かります。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 給 料300 | 所得税預り金30 |
| — | 現 金270 |
本来は相手が払うお金を、会社が一時的に立てかえたときに使う資産の科目です。あとで返してもらえる権利なので、受取側のイメージ。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 従業員立替金20 | 現 金20 |
10. 固定資産の購入
長く使う建物・備品・土地・車両運搬具などが固定資産(資産)です。買うときに本体価格だけでなく付随費用(登記料・運送費・据付費・仲介手数料など)がかかったら、それも取得原価に含めて記録します。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 建 物1,050 | 現 金1,050 |
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 備 品320 | 未払金320 |
11. 税金のさわり
会社が払う税金のうち、収入印紙・固定資産税・自動車税などは費用の租税公課(そぜいこうか)で処理します。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 租税公課50 | 現 金50 |
消費税は税抜方式で処理します。仕入で払った消費税は仮払消費税(資産)、売上で預かった消費税は仮受消費税(負債)。預かった分から払った分を差し引いて、あとで納めます。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現 金1,100 | 売 上1,000 |
| — | 仮受消費税100 |
仕訳に迷ったら、「どのグループが増えた/減ったか」を1つずつ確認。資産・費用が増えたら借方、負債・純資産・収益が増えたら貸方。あとは反対側を埋めるだけです。
✅ 確認テスト(7問)
○か×かで答えてみましょう。選ぶと正解と解説が出ます。
Q1. 三分法では、商品を仕入れたとき「商品」という勘定で記録する。
答え:×。三分法では仕入れたとき「仕入」(費用)を使います。「商品」を使うのは決算の繰越商品のときだけです。
Q2. 仕入時に当方が負担した引取運賃は、仕入(商品の原価)に含めて処理する。
答え:○。仕入諸掛(引取運賃など)は仕入に含めます。一方、売上時の発送費(当方負担)は売上に含めず「発送費」(費用)で処理します。
Q3. 掛けで仕入れた商品を返品したときの仕訳は「仕入/買掛金」である。
答え:×。返品(仕入戻し)は最初の仕訳の逆なので「買掛金/仕入」です。買掛金(負債)の減少と仕入(費用)の取り消しになります。
Q4. 当座預金の残高をこえて引き出した分(当座借越)は、決算で借入金などの負債に振り替える。
答え:○。当座借越は銀行からの一時的な借りなので、決算で当座借越(または借入金)という負債に振り替えます。
Q5. クレジット払いで商品を売ったとき、カード会社への支払手数料は「支払手数料」(費用)で計上する。
答え:○。売上は値引き前の総額で貸方に計上し、手数料は費用(支払手数料)として借方、入金される額をクレジット売掛金(資産)として借方に計上します。
Q6. 不要になった備品を売り、代金を後日受け取るときは「売掛金」で処理する。
答え:×。商品以外の売却なので「未収入金」(資産)を使います。売掛金は商品の掛け売りのときだけです。
Q7. 建物を買うときの登記料や仲介手数料などの付随費用は、建物の取得原価に含める。
答え:○。固定資産の付随費用は取得原価に含めます。本体価格+付随費用の合計を建物(資産)として計上します。
📝 一問一答(8問)
Q1. 商品を掛けで仕入れたときの仕訳は?
Q2. 商品を現金で売ったときの仕訳は?
Q3. 掛け売りした商品が返品されてきたら?
Q4. 約束手形を振り出して商品を仕入れたときの相手科目は?
Q5. 売掛金が電子記録債権の発生記録に変わったときの仕訳は?
Q6. お金を借り入れたときに使う負債の科目は?
Q7. 商品の注文時に手付金を払った側が使う科目は?
Q8. 給料から源泉所得税を天引きしたときの天引き分の科目は?
🔑 まとめ
・商品売買は三分法(仕入=費用、売上=収益、繰越商品=資産)。
・仕入諸掛は仕入に含める/売上時の発送費(当方負担)は発送費で処理。
・返品は最初の仕訳を逆にする(仕入戻し=買掛金/仕入、売上戻り=売上/売掛金)。
・当座をこえた引き出しは当座借越(負債)。手形・電子記録債権債務は受け取る権利/払う義務の形ちがい。
・商品以外の後払い・前払いは未収入金・未払金/前払金・前受金。
・固定資産は付随費用込みの取得原価。租税公課は費用、消費税は税抜方式(仮払・仮受消費税)。